LEARNING SCHOOL Kings ParkのHPができました!

interview -MY STORY-

スポーツ留学で夢のある未来を

 長年、学習塾を営み、英語も指導してきた神谷雅恵さん。近年、新たな取り組みとして力を注いでいるのが「スポーツ留学」のサポートだ。特に「高校球児の進路選択にアメリカの大学進学を広めたい」と話す。
 子どもたちの輝く未来を願う神谷さんの思いや、「スポーツ留学」の魅力について話を聞いた。

Kings Park 代表の神谷雅恵さん

kings Park 代表:神谷雅恵

PL学園女子短期大学初等教育学科卒。1989年、22歳のとき、オーストラリアへ留学。帰国後、英会話講師、保育士など教育現場勤務を経て、児童向け劇団に入団。公演ツアーで全国各地の子どもたちと触れ合う。2000年、学習塾「キングスパーク」を開設。英語指導も行う。息子のアメリカ野球留学をきっかけに、スポーツ留学の支援活動や、小・中学生対象にスポーツ交流を目的としたツアーの企画も主催。多くのスポーツ少年、保護者から信頼と高い評価を得る。

子どもたちの笑顔が私の原点

 静岡県で学習塾「キングスパーク」を営む神谷雅恵さん。22歳のとき海外留学で初めて立ち寄ったオーストラリアのking’s park。そこでの感動を塾名に込めた。「自然と都会、さまざまな人種、いろいろな価値観が調和していることの素晴らしさを目の当たりにした。私も、いろんな人が集い、いろんな子どもを育てていける場所をつくりたかった」と語る。 神谷さんは、大学の教育学部で学び、教員免許を取得。留学から帰国後は、英会話講師をしたり、保育園で勤めたりした後、学生時代にアルバイトをしていた子ども向けの劇団に就職した時期もある。「とにかく子どもが好き。公演ツアーで回った、どの場所の子どもも、キラキラした目をしていた。劇中の主人公を一生懸命に応援する姿にパワーをもらい、あの顔をずっと見ていたいと思った。今も、子どもたちの笑顔を求めている。それが私の原点」と話す。

 結婚出産後、近所の子どもたち向けに始めた学習塾はどんどん広がり、幼児から高校生まで多くの子どもと関わるようになった。「子どもたちは未来そのもの。その仲間に入れてもらっている」。弾む声に仕事への充実感が伝わる。

高校球児の息子がアメリカの大学へ進学

 高校を卒業した息子が、「大好きな野球を続けたい」とアメリカの大学に進学。息子を通して見てきた「スポーツをキャリアにする留学」に、大きな可能性と魅力を、親として、また教育に携わる者として、強く感じたと話す。
 神谷さんの息子は、幼いころから野球が好きで、高校も野球の名門強豪校に進学した。全国から猛者が集まる野球部で、いつしかプロ野球選手としての夢を抱けなくなっていた。同級生の多くが、野球部のある大学へ推薦入学を決める中、息子は「野球を続けたいからアメリカへ行く」と宣言した。
 「当時、息子の英語力はゼロ。驚きしかなかった」と神谷さん。同高校でも前例がなかったという。神谷さんが「キャッチャーおたく」と評する息子は、メジャーリーグの裏方として、投手が投球練習を行う際の相手をする、ブルペンキャッチャーを目指した。
 神谷さんは母として、英語を指導している者として、できるかぎりのサポートを行った。息子は高校卒業後、オーストラリアへ語学留学。その後、アメリカの大学と提携している語学学校で学び、大学入学に必要な英語力を付け、ラスベガスへと渡った。大学では、運動のパフォーマンスを上げるストリングストレーナーの勉強をしながら、独立リーグのブルペンキャッチャーとして経験を積んでいる。
 「アメリカで見て、経験する野球や、野球を通じて学ぶこと、そして出会った人々について話すのを聞くたびに、留学させて良かったと思う」。神谷さんがしみじみと語る。

アメリカで野球を学ぶということ

 スポーツビジネスの組織が大きいアメリカでは、たとえプレーヤーになれなくても、野球チームに携わる仕事に就くなど、野球を続けるためのさまざまなステージやたくさんの可能性がある。
 「特に器用で細やかな気遣いができる日本人はアスレチックトレーナーに向いているとされていて、鍼灸師の資格があるとより人気が高い。返済の必要のない奨学金制度がある大学もたくさんある」と説明。息子の居るラスベガスはショービジネスも盛んで、トレーナーと契約する演者も多く、スポーツに限らず、活躍の場は多いという。
 また、アメリカでは、すでに活躍していて名の知れた人も、さらなるキャリアアップを目指し学んでいる場合も多い。神谷さんの息子も、日本の球団チームでピッチングコーチをしていた人や、メジャーリーグで日本人選手の通訳を務めていた人など、「日本では会えない人に会っている」と言い、刺激を受けたり、価値観の広がりにもつながっていると話す。
 そして大きな魅力の一つが、野球を楽しめるということだろう。「アメリカの野球は、たとえ野球のルールを知らなくても楽しめるエンターテナー性がある。選手も観客も野球を楽しんでいる。またスタッフをとても大事にする雰囲気があり、そんな人との交流からも、奉仕の精神、コミュニケーション力、サバイバル力と多くのことを学んでいる」と目を細める。

スポーツ留学で未来を築く

 「多くの経験者が感じることだと思うが、野球に携わると、少年野球から高校野球まで10年近くの日常が”野球一色”になる。それだけ打ち込めるものがあるのは素晴らしいことではあるけど、野球以外の経験が少ないところは親として気になっていた」と神谷さん。「その経験値の少なさが、進路選択の幅を狭くしているのではないか。実際、スポーツに打ち込んできた子どもたちが選ぶ職業も限られていると思う」と指摘する。
 どんなに野球漬けの日々を送っても、プロ野球選手になれるのは一握り。神谷さんは、「プロ選手になれなくても、そのスポーツを続けられる道があることを知ってほしい」と呼び掛ける。「スポーツビジネスが進んでいるアメリカだと、トレーナーや通訳など選手を直接支えるスタッフの他にも、フロント、マーケティング、運営、チケット販売などあらゆる職がある」と力を込める。
 「スポーツをずっと続けてきた子どもたちは、根性がある。その根性が英語を勉強するのにも役立つ。英語ができればコミュニケーションが広がる。人との交流から、人としてまたさらに成長できる」
 野球に限らず、サッカー、水泳、テニスなど、あらゆるスポーツでその可能性があると語る神谷さん。長年続けてきた大好きなスポーツをキャリアにして、スポーツ留学という進路選択を持ち、未来を築いてほしいと願う。

寄り添えるのが強み

 神谷さんの学習塾では、経験豊富な講師がいる他、オンラインでネイティブな講師とつないだ実践的な学びの機会も提供している。また、これから留学しようという人と、現地の学生をつなぎ、ノートの書き方、授業でのプレゼンの仕方、授業の取り方などをアドバイスしてもらったり、奨学金のある進学先探しなどもサポート。スポーツに特化した大学で技術力をテストするトライアウトのツアーなども計画しており、学生や保護者に「安心感がある」と好評だ。
 神谷さんも息子も、海外留学ではさまざまなトラブルに遭遇してきた。「到着早々、手配していたはずの住む部屋がなかったり、書類の更新がうまくできなくて寮を追い出されたり。でも、そのたびに助けてくれる人がいた」と笑顔で話す。そんな失敗の経験や現地での人脈が、不安に寄り添えるサポートとなり、強みとなっている。
 大学進学を目指す高校生だけでなく、小学生を対象にしたアメリカ遠征で、現地の野球チームと対戦したり、練習方法を見学する企画も計画している。
 「海外で見たもの、聞いたこと、感じたことをパワーにして、そのパワーで自分だけでなく周りも明るくしてほしい。そんなパワーと影響を与えられる子どもたちを応援したい」と語る神谷さん。
 「スポーツ留学を考えている高校生で、アメリカの大学のトライアウトに挑戦してみたい、実力を試してみたいという人はぜひ相談してほしい。進路選択の一つに、アメリカへのスポーツ留学を増やしてほしい」と呼び掛ける。
(聞き手/赤嶺初美)